SSDの歴史と構造!そこから見えるおススメできる製品とは!?

本日は、PCのストレージとして、今や欠かすことのできないSSDについて、その歴史と構造からオススメできる製品のご紹介をしていきたいと思います!

 

1980年代 NANDフラッシュメモリの発明

 

1980年に入ってから主記憶装置としてDRAMが磁気コアメモリを完全に置き換えていきました。一方、補助記憶装置としては不揮発性のファイルメモリが要求されるので、相変わらず磁気ディスクと磁気テープが使われていました。半導体の不揮発性メモリとしては、1967年にEEPROMが発明されていましたが、ファイルメモリとして普及するにはコスト面が問題でした。EEPROMは、ランダムアクセスを可能にするため1bitあたり1個の選択トランジスタと、1個のメモリトランジスタの計2個のトランジスタで構成されていますが、ファイルメモリで最も重要な点は 1ビット当たりのコストが安い ことで、性能面は優先順位が高くありません。

 

そこで、ビットコストを安くするために登場したのが NOR型フラッシュメモリ(NORフラッシュ)です。株式会社東芝(当時)の舛岡富士雄氏は1984年、NORフラッシュの基本動作メカニズムを国際学会IEDMにて発表、翌1985年には256kbitのNORフラッシュを国際学会ISSCCにて発表しました。NORフラッシュは1bitを1個のメモリトランジスタで構成されるので、EEPROMよりビットコストを安くできます。

 

<図4> NOR型フラッシュメモリ

しかし、補助記憶装置を磁気メモリからフラッシュメモリに置き換えるには更にビットコストを下げる必要がありました。そこで、舛岡氏はフラッシュメモリのチップ面積を縮小するため、回路構成を変えたNAND型フラッシュメモリ(NANDフラッシュ)を発明して1987年にIEDMへ論文を投稿、1989年には4Mbit NANDフラッシュの試作成功をISSCCで発表しました。NANDフラッシュは、1本のbit線に多数のメモリセルを接続することで1個当たりのメモルセルの占有面積をNORフラッシュより小さくしました。そのため、NORフラッシュよりビットコストを下げる事が出来ました。NANDフラッシュはNORフラッシュより読み出し速度は遅いですが、ビットコストを大幅に下げたため、ファイルメモリとして磁気メモリを置き換えるイノベーション技術となりました。

 

<図5> NAND型フラッシュメモリ

 

1990年代 NANDフラッシュの製品化

 

1991年には東芝が世界で初めてNANDフラッシュを製品化しました。当初4MbitだったNANDフラッシュ製品は、製造プロセスの微細化と技術革新によりメモリセルの縮小化が進み、90年代の終わりには256Mbitへと容量が増大しました。

 

1990年代はデジタルカメラでNANDフラッシュが使われ始めました。まず、1993年には容量16M、1995年には32MのNANDフラッシュが製品化されると共に、デジタルカメラの記録媒体として採用されました。デジタルカメラの発展には周辺技術の発展がキーとなりました。1991年には世界で初めてリチウムイオン電池が製品化され、モバイル用途の製品が実用的になりました。リチウムイオン電池の開発により吉野彰博士が昨年ノーベル賞を受賞したことは記憶に新しいことです。静止画像の圧縮技術で主流となったJPEGは1992年にリリースされ、画像ファイルを圧縮してNANDフラッシュに記録する方式の実用化に寄与しました。

 

<表1> デジタルカメラの登場

2000年代 多値化と微細化で実用的な容量へ

 

2000年代は多値技術が大きく進歩した時代でした。東芝は2001年、2bit/セル(MLC)を採用した1Gbit NANDフラッシュを世界で初めて商品化したと発表。同年、同フラッシュを2個積層した2Gbit NANDフラッシュをサンプル出荷開始しました。その後、多値技術はTLC(3bit/セル)、QLC(4bit/セル)へと発展しました。2019年のフラッシュメモリサミットでは、東芝、及び、共同開発パートナーであるWestern DigitalがPLC(5bit/セル)の実験結果を発表しています。

 

<図6> SLC(1bit/セル) と MLC(2bit/セル)

1990年代の市場では静止画像の記録にフラッシュメモリが普及し始めましたが、2000年代には音声や動画の記録にフラッシュメモリが採用され始めました。その背景として、フラッシュメモリの容量が実用的になったのに加え、音声圧縮技術と動画圧縮技術の進歩が挙げられます。2005年にAppleが発売したiPod shuffleにNANDフラッシュが搭載されてから、NANDフラッシュを搭載した携帯音楽プレーヤーが世界的に普及しました。また、2001年には携帯電話にもカメラが搭載され、同年、日本が世界に先駆けて商用化した第三世代通信規格 “3G” によって携帯電話でもメールやインターネットが可能となりました。当時は携帯電話で写真を撮影してメールで送ることが大流行しましたが、今ではスマートフォンで撮影した写真をSNSで共有することが日常的な光景となっています。
この様にして携帯電話に画像や音楽を保存する補助記憶装置としてNANDフラッシュが活用され、NANDフラッシュの市場が拡大していきました。

 

<表2> NANDフラッシュメモリを採用した民生品の登場

2010年代 3D NANDと多値で大容量化

 

2014年にはSamsungがISSCCにて1チップで容量128Gbitの3D NANDチップを発表しました。これが世界初の公式な3D NANDと言われています。従来の2D NANDは、メモリセルアレイが水平方向に伸びていますが、3D NANDは垂直方向に伸びています。その為、垂直方向へ積層数を増やすほど、記憶容量は大きくなります。

 

2018年と2019年には、TLC技術、QLC技術といった多値技術と3D NANDを併用して1チップで1Tbitを実現した発表が相次ぎました。

 

<図7> 2D/3D NANDフラッシュの構造比較

 

2020年代 更なる飛躍へ

 

NANDフラッシュは、製造プロセスの微細化に加え、多値化、3D化することで記憶容量を飛躍的にアップさせて用途を拡大してきました。用途は、当初はデジタルカメラ、音楽、パソコン周辺機器でしたが、スマートフォンの浸透とSNSの流行によって共有の文化が広がり、 ストレージの活用は 「モノ」 から 「コト」 へと広がっていきました。2020年代はAI、IoT、5Gの発展により 「データ」 の活用が活発な社会になるため、NANDフラッシュは益々活用されると予想されています。

 

SSDはアクセス速度が速く、ハードディスクドライブ(HDD)と比べて衝撃に強く、記録容量は年々大きくなってきているので様々なアプリケーション向けに用途が拡大しています。一方、HDDとは構造が全く違うため、認識できない、読み込みできないなどの不具合の原因もHDDとは異なります。SSDの故障とはどの様なものなのか、ひも解いていきます。

 

SSDの構造

 

まず、SSDの構造を見ていきましょう。SSDは、データを保存するNAND Flashに加え、SSD全体の機能をコントロールするコントローラと、データを一時的に保存するバッファメモリの役割を担うDRAMで主に構成されています。ホストのデータを直接NAND Flashに書き込むのは時間が掛かるため、一旦、DRAMに書き込みます。DRAMをバッファメモリとして使うことにより、ホストを待たせずに書き込みを進めることができます。

 

<図1> SSDの構造

 

システムの不具合が多い

 

米国のデータ復旧サービス企業が調査した結果によると、SSDが故障してデータを読み書きできなくなる原因の65%はシステムの不具合が占めているとのことです。一方、半導体チップの不良による電気的な不具合は5%と少ない状況でした。つまり、図1で示したSSDの構造の中では、ホストマシンとコントローラに関わる不具合が大半を占めており、NAND Flashの不具合によるSSDの故障は少ない状況です。

 

システムの不具合とは、ファームウェアの不具合やマッピングテーブルの不具合などです。ファームウェアの不具合は、ファームウェアのアップデートに失敗した際だけでなく、SSDが動作中に発生する場合もあります。マッピングテーブルは、データのマッピングを物理的なマッピングから論理的なマッピングに変換するテーブルです。

 

使うほど寿命は縮まる

 

SSDはNAND Flashにデータを保存することでデータを記憶しますが、NAND Flashはその特性上、使えば使うほど劣化していきます。NAND Flashのメモリセルは図2の様な断面構造になっており、トンネル酸化膜(絶縁膜)を通してフローティングゲートへトンネル電流を流して電荷を注入したり引き抜いたりすることで、データの書き込みや消去を行っています。そのため、書き込みや消去を繰り返すと絶縁膜に何度もトンネル電流を流すことになるので膜質が劣化し、NAND Flashの寿命が縮まっていきます。そこで、SSDは書き換え回数を制限しており、書き換え回数が増えるほどSSDとしての寿命は縮まっていきます。

 

<図2> メモリセルの断面構造

 

コントローラが寿命劣化をカバーしている

 

書き込みや消去を行うことによるNAND Flashの物理的劣化は避けられないですが、SSDはコントローラの機能により様々な延命を図っています。まず、特定のメモリセルでの書き換え回数が突出しない様、 「ウェアレベリング」 で書き込むエリアを平準化しています。それでも劣化したメモリセルにより発生したビット不良を 「ECC(誤り訂正符号)」 機能で検出してデータを訂正します。劣化したメモリセルが多い場合はデータの訂正ができなくなり、 不良ブロックとして扱われ、データの読み書きを禁止します。NAND Flashは、不良ブロックを差し替えるための正常なブロックである 「冗長ブロック」 を用意しており、不良ブロックが発生したら冗長ブロックに差し替えています。これら一連の機能をコントローラが担っており、書き込みや消去による寿命劣化をカバーしています。

 

参照URL:https://www.adtec.co.jp/tech-news/

 

以上のような事柄より、こういった箇所をリリース前にしっかりと検査している信頼のおけるメーカーのSSDを選択することが不可欠です!

 

アドテックのSSDは、故障の大半を占めるシステムの不具合を未然に防ぐため、サポート体制も充実させております。

 

産業用途向けのお客様には、製品導入前にホスト側の仕様やSSDの使い方、当社製品の仕様についてお客様と十分なすり合わせも行っているそうです!

 

万が一不具合が発生した場合は、迅速にサポートさせて頂く品質保証体制を整えているとのことで、オススメです!

 

組み込み用途 / 産業用途向け SSD (2.5inch)